「急変が怖くて、患者さんの部屋に入るのがドキドキする」
新人ナースさんから、よく聞く言葉です。怖くて当然。私も最初はそうでした。でも、急変対応は「何をすればいいか」を知っておくだけで、動けるようになります。今回は発見から蘇生チームが動き出すまで、新人さんが実際にやるべきことを全部お伝えします。
急変を疑うサイン
「なんかいつもと違う…」という違和感を大切にしてください。急変は突然ではなく、必ずサインがあります。
| 観察項目 | 気になるサイン |
|---|---|
| 意識 | 呼びかけに反応がない・いつもより反応が鈍い・ぼんやりしている |
| 呼吸 | 胸が動いていない・呼吸が速い・ゼーゼーしている・あえぎ呼吸 |
| 顔色・口唇 | 蒼白・チアノーゼ(青紫色)・冷や汗をかいている |
| 脈 | 触れない・非常に速い・非常に遅い |
| その他 | 「なんか変」という直感・バイタルの急激な変化 |
発見から応援到着まで:新人がやること
STEP 1 大声で助けを呼ぶ+ナースコール
「〇〇号室、来てください!」と大声で叫びながら、同時にナースコールを押す。この2つを一気にやります。1人でどうにかしようとしない。これが最優先です。
STEP 2 意識・呼吸・脈を確認する(10秒以内)
応援を呼びながら素早く確認します。
- 肩を叩いて「大丈夫ですか?」と呼びかける → 反応なし
- 胸の動きを見る・口元で気流を感じる → 呼吸なし or 死戦期呼吸(ガクガクしたあえぎ)
- 頸動脈で脈を確認 → 脈なし
⚠️ 迷ったらCPRを始める判断でOK。「脈があるかも」と迷って遅れることの方が危険です。
STEP 3 胸骨圧迫を開始する
呼吸・脈がなければ、応援が来るまで胸骨圧迫を始めます。
| 項目 | やり方 |
|---|---|
| 位置 | 胸の真ん中(胸骨の下半分) |
| 深さ | 約5cm(強く押す) |
| 速さ | 1分間に100〜120回(♩タン・タン・タン・タンのリズム) |
| 戻し | 毎回しっかり胸を戻す(圧迫と解除を1:1で) |
💡 「アンパンマンのマーチ」のリズムで押すと100〜120回/分になります。胸骨圧迫は体力を使うので、応援が来たら2分ごとに交代します。
STEP 4 AEDを手配する
「誰かAED持ってきて!」と指示します。自分が持ちに行ける状況なら取りに行く。AEDは機械が音声でガイドしてくれるので、電源を入れて指示に従うだけで使えます。
蘇生チームが来たら:チームの中での動き方
先輩や医師が到着してからが本当のチーム戦です。新人さんは指示された役割を1つこなすことに集中しましょう。
| 役割 | 主な担当 | 新人が担当しやすいもの |
|---|---|---|
| チームリーダー | 医師・リーダー看護師 | ― |
| 胸骨圧迫 | 全員で2分交代 | ✅ 積極的に交代要員に入る |
| 気道確保・換気 | 経験者 | バッグを持つ補助など |
| AED操作・除細動 | 経験者 | ✅ AEDを持ってくる・電極を貼る補助 |
| 静脈路確保・薬剤投与 | 経験者 | ✅ 指示された薬品・物品を取ってくる |
| 記録係 | ― | ✅ 新人に向いている重要な役割! |
| 他患者対応 | ― | ✅ ナースコール対応・他の患者の安全確認 |
記録係は新人の大事な仕事
蘇生の記録は後の治療や振り返りに非常に重要です。新人さんが記録を担当することで、チーム全体が蘇生に集中できます。
- 発見時刻
- 胸骨圧迫開始時刻
- AED使用時刻・ショック回数
- 投与した薬剤・時刻
- 医師到着時刻
- ROSCの時刻(心拍再開時刻)
メモ帳がなければ手に書いてもOK。時刻を残すことが最優先です。
急変対応フロー まとめ
| タイミング | やること |
|---|---|
| 発見直後 | 大声で呼ぶ+ナースコール |
| 10秒以内 | 意識・呼吸・脈を確認 |
| 反応なし | 胸骨圧迫を開始・AEDを手配 |
| 応援到着 | 指示された役割をこなす(記録・圧迫交代・物品準備など) |
| 全体を通して | 時刻を意識して記録する |
新人さんへのメッセージ
急変対応で新人に求められているのは「1人で解決すること」ではありません。でも「大声で呼ぶだけでいい」でもありません。
声を上げて、胸骨圧迫を始めて、チームの中で役割を持って動く。それができれば十分プロの動きです。
急変は怖いけれど、流れを知っておくだけで体が動けるようになります。BLS(一次救命処置)の研修は必ず受けて、手が動くまで練習しておきましょう🌸
※ BLSの詳細は日本蘇生協議会(JRC)ガイドラインを参照してください。







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