「人工呼吸器の患者さん、何を観察すればいいの?」「アラームが鳴ったらどうすればいい?」
新人ナースが一番不安に感じる場面ですよね。
観察項目を「何を見るか」だけじゃなく「なぜ見るのか(病態)」とセットで解説します。
病態がわかると観察に意味が生まれ、自信を持ってケアができるようになりますよ!
🔍 観察の基本:「患者さん」と「機械」の両方を見る
人工呼吸器管理中の観察は大きく2つに分かれます。
| 観察対象 | 何を見るか |
|---|---|
| 患者さん | 呼吸・循環・意識・チューブ・分泌物 |
| 機械(人工呼吸器) | 設定値・実測値・アラーム |
機械が正常に動いていても、患者さんの状態が悪いこともあります。必ず両方をセットで確認しましょう。
🧑⚕️ 【患者さんの観察項目】
1. 🫁 呼吸状態
人工呼吸器は「補助」しているだけ。SpO₂・呼吸回数・胸郭の動きを確認して、換気が十分か・肺に問題が起きていないかを判断します。
| 観察項目 | 正常の目安 | 異常のサイン・意味 |
|---|---|---|
| SpO₂ | 95%以上(COPD患者は88〜92%) | 低下 → 低酸素血症、肺水腫、無気肺 |
| 呼吸回数 | 12〜20回/分 | 頻呼吸 → 疼痛・不安・換気不足のサイン |
| 胸郭の動き | 左右差なく均等に動く | 左右差あり → 片肺挿管・気胸の可能性 |
| 呼吸音 | 左右対称に聴取できる | 減弱/消失 → 無気肺・気胸;水泡音 → 肺水腫・分泌物貯留 |
| ファイティング | なし(患者と機械が同期している) | → 鎮静不足・換気設定のミスマッチ |
・SpO₂が急に90%を下回った
・左右で胸の動きに差がある
・ファイティングが続く
2. 💓 循環状態
陽圧換気が循環に影響する理由
自分で息を吸う(陰圧)→ 静脈が心臓に戻りやすい↑
人工呼吸器で換気(陽圧)→ 静脈が戻りにくい → 心拍出量↓ → 血圧低下
PEEPが高いほどこの影響が大きくなります。
| 項目 | 正常の目安 | 異常のサイン |
|---|---|---|
| 血圧(MAP) | 65mmHg以上 | 低下 → 心拍出量↓、ショック |
| 心拍数 | 60〜100回/分 | 頻脈 → 疼痛・不穏・発熱・低血圧の代償 |
| 心電図 | 洞調律 | 不整脈 → 電解質異常(K・Mg)に注意 |
3. 🧠 意識・鎮静レベル(RASSスコア)
鎮静が深すぎる → 自発呼吸消失・ウィーニング遅延・ICU-AW
鎮静が浅すぎる → 不穏・自己抜管リスク↑
RASSスコアで毎回記録して、目標鎮静深度(医師指示)と照合しましょう。
| RASSスコア | 状態 | 観察ポイント |
|---|---|---|
| +4〜+2 | 激しい興奮〜興奮 | 自己抜管・暴力リスク大 |
| +1 | 落ち着きがない | 注意が必要 |
| 0 | 覚醒・落ち着いている | 目標になることが多い |
| -1〜-2 | 傾眠〜軽度鎮静 | 呼びかけで反応あり |
| -3〜-4 | 中〜深鎮静 | 刺激でのみ反応 |
| -5 | 昏睡 | 無反応。換気完全依存 |
RASSが目標より深い(-3以下が続く)→ 鎮静薬の減量を検討
急に興奮(+2以上)→ 自己抜管リスク!すぐ先輩に報告
4. 🩺 チューブ・回路の確認
| 確認項目 | 内容 | 異常のサイン・対応 |
|---|---|---|
| 挿管チューブの深さ | 門歯から男性22cm・女性20cm前後 | 浅い/深い → 片肺挿管・喉頭損傷リスク |
| カフ圧 | 20〜30cmH₂O(専用ゲージで確認) | 低すぎ → リーク・誤嚥;高すぎ → 粘膜壊死 |
| 固定状態 | テープのゆるみ・ずれがないか | ずれ → 自己抜管の前兆 |
| 回路接続部 | しっかり接続されているか | 外れ → 換気できなくなる!緊急 |
不穏が出てきたらすぐ鎮静調整を報告する
チューブがずれた/抜けた場合はすぐ緊急コール
5. 💧 分泌物(痰)の観察
| 痰の性状 | 考えられる原因 |
|---|---|
| 白色〜透明・サラサラ | 正常 |
| 黄色・緑色・粘稠 | 感染(VAP・肺炎)のサイン |
| 血性(赤い) | 気道粘膜の損傷、出血 |
| ピンク色の泡沫状 | 肺水腫(緊急!すぐ報告) |
| 茶色・黒色 | 古い血液、誤嚥した異物 |
・呼吸音でゴロゴロした水泡音が聴取される
・SpO₂が低下してきた
・気道内圧が上昇してきた
・患者が咳嗽している
定期的な吸引より、必要なときに行うことが気道粘膜への刺激を減らすうえで重要です。
⚙️ 【機械(人工呼吸器)の観察項目】
設定値の確認
勤務開始時に必ず医師の指示と照合します。
| 設定項目 | 説明 | 目安値 |
|---|---|---|
| FiO₂(吸入酸素濃度) | 何%の酸素を吸わせているか | 長期は40%以下が理想 |
| PEEP(呼気終末陽圧) | 呼気の終わりに残す圧力。肺胞を開き続ける | 5cmH₂O前後(ARDSでは高め) |
| 換気回数 | 機械が何回/分送気するか | 10〜16回/分 |
| 換気量(Vt) | 1回に送る空気の量 | 6〜8mL/kg(体重あたり) |
| 最高気道内圧(PIP) | 送気時にかかる最大の圧力 | 通常30cmH₂O以下 |
アラームへの対応
① 患者さんを見る(SpO₂・表情・胸の動き)
② 回路の接続・チューブのずれを確認
③ 気道内圧の変化を確認
④ 原因が分からなければすぐに先輩を呼ぶ
| アラームの種類 | 主な原因 | 対応のポイント |
|---|---|---|
| 高圧アラーム | 分泌物貯留・気管支攣縮・ファイティング・回路の折れ曲がり | 吸引・鎮静確認・回路チェック |
| 低圧アラーム | 回路外れ・カフリーク・接続不良 | 接続確認・カフ圧確認 |
| SpO₂低下アラーム | 無気肺・気胸・分泌物貯留・体位による圧迫 | 聴診・吸引・体位確認 |
| 無呼吸アラーム | 鎮静過剰・自発呼吸消失 | 鎮静薬確認・医師報告 |
✅ まとめ:観察の流れチェックリスト
「なんとなく見る」から「意味がわかって見る」に変わると、急変の予兆にも気づけるようになりますよ。難しく考えずに、まずは「なぜ?」を意識して観察してみてください🌸



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