⑥人工呼吸器装着中の患者ケア|口腔ケア・体位管理・吸引のポイント

人工呼吸器看護

人工呼吸器装着中の患者さんのケアは、ただ「お世話をする」だけではなく、合併症を予防し早期回復につなげる重要な治療的介入です。この記事では口腔ケア・体位管理・吸引・カフ圧管理・早期離床を、なぜやるのか(病態)とセットで解説します。

🛡️ VAPバンドルとは?ケア全体の土台

💡 VAPって何?

人工呼吸器関連肺炎(VAP)は挿管後48時間以降に発症する肺炎で、死亡率を大幅に上げる最重大合併症のひとつ。VAPバンドルはエビデンスに基づいた予防ケアをセットで実施することで、単独ケアより予防効果が高まります。

VAPバンドルの5項目目的
頭部挙上30〜45度胃内容物の逆流・誤嚥を防ぐ
口腔ケアの定期実施口腔内細菌の気管への垂れ込みを防ぐ
カフ圧管理(20〜30cmH₂O)気管への分泌物流入を防ぐ
鎮静の最小化(毎日の覚醒トライアル)人工呼吸器期間を短縮する
消化性潰瘍・DVT予防二次合併症を防ぐ

① 🦷 口腔ケア(VAP予防の最重要ケア)

💡 なぜやるの?(病態)

口腔内には多数の細菌が存在します。挿管中は唾液が口腔内に溜まりやすく、これが気管に垂れ込むと肺炎(VAP)の原因になります。口腔ケアで細菌量を減らすことが直接的なVAP予防になります。

ケアのポイント内容
頻度少なくとも1日2回(施設によって異なる)
方法歯ブラシ+吸引チューブで分泌物を除去
カフ圧確認口腔ケア前に必ずカフ圧20〜30cmH₂Oを確認
体位頭部30〜45度挙上を維持したまま実施
注意点ケア中の誤嚥・チューブのずれに注意
⚠️ 口腔ケア時の注意

カフ圧が低いと口腔内の洗浄液が気管に流入します。ケア前に必ずカフ圧を確認しましょう。

② 🛏️ 体位管理(頭部挙上30〜45度)

💡 なぜやるの?(病態)

平坦な仰臥位では胃内容物が食道・咽頭に逆流しやすく、気管への誤嚥リスクが上がります。頭部を30〜45度挙上することで重力を利用して逆流を防ぎます。また無気肺の予防・換気効率の改善にもつながります。

⚠️ 体位管理の注意点

血圧低下時や脊椎術後など、挙上制限がある場合は医師に確認。ずり下がりが起きていないか皮膚観察も必ず行いましょう。

③ 💨 気管内吸引

💡 なぜやるの?(病態)

挿管中は自力での痰喀出が困難です。分泌物が気道に貯留すると無気肺・SpO₂低下・気道内圧上昇・感染を引き起こします。必要なときに適切な吸引を行うことが重要です。

吸引のタイミング(適応)根拠
呼吸音で水泡音・ゴロゴロ音が聴取分泌物貯留のサイン
SpO₂が低下してきた換気障害のサイン
気道内圧が上昇している分泌物による気道抵抗増大
患者が咳嗽している自分で出せないサイン
✅ 吸引のポイント

定期吸引ではなく必要性を判断して実施(不必要な吸引は気道粘膜を傷つける)
吸引圧:-150〜-200mmHg
1回の吸引時間:10〜15秒以内
吸引前後のSpO₂・バイタルの確認を忘れずに

④ 🎛️ カフ圧管理

💡 なぜやるの?(病態)

気管チューブのカフ(風船)は気管壁を密着させ、口腔・胃内容物の気管流入を防ぐ役割があります。圧が低すぎるとリーク・誤嚥、高すぎると気管壁の壊死が起きます。

カフ圧状態対応
20〜30cmH₂O適切定期確認を継続
20cmH₂O未満低すぎる(リーク・誤嚥リスク)カフ追加注入・医師に報告
30cmH₂O超高すぎる(粘膜壊死リスク)空気を抜いて調整・医師に報告
⚠️ カフ圧は定期確認を!

体位変換・口腔ケア・移動の前後に必ずカフ圧を確認します。専用のカフ圧計で毎勤務チェックが原則です。

⑤ 🚶 早期離床(ABCDEFバンドル)

💡 なぜやるの?(病態)

ICUでの安静臥床は筋力低下(ICU-AW)・せん妄・精神障害を引き起こします。ABCDEFバンドルは早期離床・精神サポートを含む包括的ケアで、ICU在室期間・人工呼吸器装着期間を短縮するエビデンスがあります。

ABCDEFバンドル内容
A(Awakening)毎日の鎮静中断トライアル
B(Breathing)毎日の自発呼吸トライアル(SBT)
C(Coordination)AとBを連携して行う
D(Delirium)せん妄の評価・予防(CAM-ICUなど)
E(Early Mobility)早期リハビリ・端坐位・立位・歩行訓練
F(Family)家族の参加・面会・精神サポート

✅ まとめ:ケアの優先順位

患者ケアのチェックリスト
🌸 ゆるままからひとこと

ケアのひとつひとつに「なぜやるのか」という意味があります。病態がわかると、患者さんの変化にも早く気づけるようになりますよ🌸

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