「血液ガスの数値はわかるけど何を意味しているのか…」「ブランクがあって代償の考え方を忘れてしまった」
この記事では新人ナース向けの基本の読み方から、ブランク・中堅ナースが現場で使える代償の考え方まで、ステップアップ形式で解説します。
Step 1〜3の順に読むだけで、4パターンの酸塩基異常が判断できるようになります。
代償の仕組みまで理解すると、ブランクナース・中堅ナースとして一歩上の視点で患者さんを看れるようになりますよ!
🔬 血液ガスって何を調べているの?
血液ガス(動脈血液ガス分析)は動脈血を採取して以下を調べる検査です。
| 検査項目 | 何を調べているか |
|---|---|
| 酸素化 | 肺でどれだけ酸素を取り込めているか |
| 換気 | CO₂をどれだけ排出できているか |
| 酸塩基バランス | 体のpH(酸性・アルカリ性)は保たれているか |
人工呼吸器管理中は換気と酸素化の両方を直接コントロールしています。血液ガスはその効果を直接反映する最重要指標です。設定変更の根拠としても必ず参照されます。
📊 基本の4項目:正常値と意味
| 項目 | 正常値 | 何を反映しているか |
|---|---|---|
| pH | 7.35〜7.45 | 血液の酸性・アルカリ性のバランス |
| PaCO₂ | 35〜45mmHg | 肺の換気量(肺がCO₂を吐き出せているか) |
| HCO₃⁻ | 22〜26mEq/L | 腎臓の調節(腎臓が酸をどれだけ吸収できるか) |
| PaO₂ | 80〜100mmHg | 動脈血中の酸素量(肺が血液に酸素を乗せ替えできているか) |
P/F比 = PaO₂ ÷ FiO₂
酸素化の悪さを換気設定を考慮して評価する指標:
・300以上:正常
・200〜300:軽度低酸素血症(ARDS軽症)
・100〜200:中等度(ARDS中等症)
・100未満:重度(ARDS重症・腹臥位療法の適応目安)
📖 3ステップで読む酸塩基平衡
Step 1:pHを見る → 酸性?アルカリ性?
| pH | 判定 |
|---|---|
| 7.45超 | → アルカローシス(アルカリ性に傾いている) |
| 7.35〜7.45 | → 正常(でも代償が起きている可能性あり) |
| 7.35未満 | → アシドーシス(酸性に傾いている) |
Step 2:PaCO₂を見る → 呼吸性か?
| PaCO₂ | 判定 |
|---|---|
| 45超 | → CO₂が溜まっている → 呼吸性アシドーシスの原因 |
| 35〜45 | → 正常 |
| 35未満 | → CO₂を吐き出しすぎ → 呼吸性アルカローシスの原因 |
Step 3:HCO₃⁻を見る → 代謝性か?
| HCO₃⁻ | 判定 |
|---|---|
| 26超 | → 代謝性アルカローシスの原因(または代償) |
| 22〜26 | → 正常 |
| 22未満 | → 代謝性アシドーシスの原因(または代償) |
🎯 4パターンの整理
| パターン | pH | PaCO₂ | HCO₃⁻ | 代表的な原因 |
|---|---|---|---|---|
| 呼吸性アシドーシス | ↓低下 | ↑上昇 | →正常 | COPD増悪・換気不足・鎮静過剰 |
| 呼吸性アルカローシス | ↑上昇 | ↓低下 | →正常 | 過換気・疼痛・不安・人工呼吸器設定過剰 |
| 代謝性アシドーシス | ↓低下 | →正常 | ↓低下 | 敗血症・乳酸アシドーシス・腎不全・DKA |
| 代謝性アルカローシス | ↑上昇 | →正常 | ↑上昇 | 嘔吐・胃液喪失・利尿剤・低K血症 |
🔄 代償の仕組み(中堅・ブランクナース向け)
体は一次的な異常(呼吸性 or 代謝性)を補正しようと、もう一方の臓器(腎臓 or 肺)が逆方向に反応します。これを代償といいます。
代償が起きると HCO₃⁻ や PaCO₂ が動いていても、「一次性」ではなく「補正反応」として解釈します。
| 一次性障害 | 代償反応 | 代償の仕組み | 時間軸 |
|---|---|---|---|
| 呼吸性アシドーシス(PaCO₂↑) | HCO₃⁻↑ | 腎臓がHCO₃⁻を増やしてpHを戻す | 急性:数時間、慢性:2〜5日 |
| 呼吸性アルカローシス(PaCO₂↓) | HCO₃⁻↓ | 腎臓がHCO₃⁻を排泄してpHを戻す | 急性:数時間、慢性:2〜5日 |
| 代謝性アシドーシス(HCO₃⁻↓) | PaCO₂↓ | 肺が過換気でCO₂を吐き出す(Kussmaul呼吸) | 数分〜数時間 |
| 代謝性アルカローシス(HCO₃⁻↑) | PaCO₂↑ | 肺が換気を抑えCO₂を貯める | 数時間 |
代償があってもpHは完全に正常には戻りません(7.35〜7.45の範囲内に近づくが中央の7.40には戻りきらない)。
pHが完全に正常でも一次性障害が解決したわけではないので、原因の治療が必要です。
🏥 人工呼吸器設定と血液ガスの関係
| 血液ガスの異常 | 原因として考えられる設定 | 対応の方向性 |
|---|---|---|
| PaCO₂↑(換気不足) | 換気回数が少ない・換気量が少ない | 呼吸回数↑ or 換気量↑を医師に提案(新しい空気でCO2洗い流す) |
| PaCO₂↓(換気過多) | 換気回数が多すぎ | 呼吸回数↓を医師に相談 |
| PaO₂↓(酸素化不良) | FiO₂が低い・PEEPが低い | FiO₂↑ or PEEP↑を医師に報告 |
| pH↓(アシドーシス) | 換気不足 or 代謝性要因 | PaCO₂・HCO₃⁻と合わせて判断 |
✅ まとめ:血液ガス読み方の流れ
血液ガスは最初は難しく感じますが、3ステップの順番通りに読む習慣をつければ必ず読めるようになります🌸
ブランクがある方も、この流れを繰り返し見直すことで現場でも自信を持って使えるようになりますよ!



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